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マザーポート特別対談【お金の不安】母子家庭がお金と向き合いながら、幸せになる方法とは?

お金に不安なのは当たり前。まずは不安を受け入れて、
少しでも不安がなくなるためには、今、手を動かすこと、足を動かすこと

年収300万円でも高い?シングルマザーのお金事情

前回は、「シングルマザーでも出来る仕事は少なくない!視野を広げると見えてくる仕事の選択肢」という「シングルマザーと仕事」をテーマに、シングルマザーに詳しい3人が集まりました。

仕事だけでなく、「お金」に関してもシングルマザーにとっては、不安要素だと捉えられがちだと思うんです。
その辺についてはどう思われますか。
そうですね。
シングルマザーの平均年収が180万円と言われており、実際日本シングルマザー支援協会では、年収300万円プロジェクトをやっているのですが、それですら「誰がそんなに貰えるのですか。」という質問が結構きたくらいです。
そんなに稼いでいる人を見たことないという感じですかね。
現状、見たことないという質問が飛んでくるくらい、シングルマザーに限らず女性の収入が低いのがこの国で、中々自分が目指したいキャリアに達していないという方が沢山います。
実際に稼いでいるイメージを持てないという感じですか。
そうですね。
なので年収300万円と聞くと夢物語のように聞こえる。
男性に言ったら、「え、なんで300万円なの?低いんじゃない?」と言われるのですが、本当は私たちも500万円くらいでやりたかったけれど、自分ごとにならない目標を設定しても、現実味がない感じになってしまいますね。
そういう人はいいわね。みたいなね。
きっと元々年収が高くて、安定した仕事に就いている方にとっては、さほど違和感はないかもしれないですね。
そうそう。なので、私たちが考えた300万円を目標金額にしています。
もちろんそれより高いのは全然良いし、1回経験しちゃえば、年収1000万円でもなんでも当たり前になるので。

お金に不安は当たり前。まずは不安を受け入れることが大切

今まで専業主婦で、ある日離婚になったときの不安というのが、クローズアップされがちだと思うのですが、そういったお金の不安を解消していくにはどんな方法があると思いますか?
私は様々な経験がありますけれども、まずお金の問題に関していったら、不安でなくなる方法はないと思うんです。
お金を稼いでいても凄く不安ですよね。だって分からないじゃない。先のことなんて。
だからまず、不安になれることが凄く大切だと思う。不安であることは何でもない。
受け入れるってことですよね?
慣れていく?
そうですね!
不安であることが当たり前だから、この不安を解消したいと思っていると、不安を解消するということに凄く注目がいっちゃって、より多く収入が入ってくるようにしようということに集中できなくなっちゃうと思うんです。
だからまず、お金は凄く少なくて足りない。そのことを受け入れて、不安なのは当たり前。
少しでも不安がなくなるためには、今、手を動かすこと、足を動かすことだと思います。
そうですね。
あと、使うお金をとにかく少なくする。
お金を使うことで幸せという価値観をまず手放して。
そうですね。価値観を変えるっていう。私も実はそれ大切にしています。
そう。お金を消費することでストレス発散とか、そうじゃないところに何か幸せというか、無理しているんじゃなくてね、私はそういうことが心の満たされることかなって。子どもと一緒に1円玉とか数えたりとかね、そういうことも凄く楽しくてやってきたし、1ヶ月にこれしか使わないようにしようっていうことが、逆にゲームみたいに楽しくなってきて。
でもそれって凄く良いことですよね。
感覚が大事ですよね。
そうなの。
「今日100円しか使えないよ〜」と子どもと話したりね。
みなさん課題をね、大きくしちゃう傾向がありますよね。
そうだね。だからさファイナンシャルプランナーっていう人がさ、将来はこれだけ必要ですよとかいうと余計不安になってしまう。だからそこのなんか。
だからそういうあり方だと逆方向なんですけど。
ね、そうなんだよね。
私自分がファイナンシャルプランナーだからこそ、みなさんにお伝えしているのが不安をなくすためにも先言った受け入れると同じ事なんですけど、実際どれくらい足りないのか書き出してみるのもいいよ。おばけ屋敷ってどこからおばけが出てくるのかが分からないから怖いのであって、ここ回ったらこの人がいるって分かっていたらそんなに怖くなく歩めるはずじゃないですか。
うんうん。
だから、大学これくらいかかるんだ、あ、でもそれを目標にして今キャリアを積んでいけば、先ほどの仕事、キャリアアップの話ではないですけども、それをモチベーションに変えていければ、不安が不安でなくなる。
貧乏も楽しめばいい。
そうなんですよ。

「貧乏にしてくれてありがとう」お金がなくても子どもは楽しめる!

まだ若いときは、お金がないことが苦しくて、子どもに八つ当たりしちゃったことあったけれど、段々と受け入れられるようになったら、よし貧乏家族今日どこいく?みたいな。ヨーカドーで一日過ごす?みたいな。
でもね楽しいですもんね、子どもにとっては。
そうそう。子どもはそれでも兄弟がいて親がいてみんなが笑顔であれば、全然もうそれで幸せなんですよ。
逆に小さなことで幸せになる力が高まるような気がしますよね。
そうだね。思い出したエピソードがあるんだけど、私と息子がある時転校して、もう益々小さなとこしか住めなくなって、本当にカンカンカンカンと上がっていくようなアパートにいたときに、そこに新しい転校生が来たっていうので、とにかくすぐに家を見に来る子ってどこの学校にもいるんですよ。
それで、私が仕事から帰ってきたら、友達が来ていたわけね。新しい学校の初日か2日目くらいですよ。
そうしたらその子が私に、「なぜこんなに貧乏なんですか?」って言われたの。
えっ。
「こんな小さなところに住んで石尾君が可哀想ですね。」みたいなことを言ったの。
子どもって凄いよね、言うこと。
私はそのときの息子の顔を見たら、凄く立場のないような顔をしていたわけ。だからその子に向かって、「私たちはここが凄く幸せに暮らせる家なの。君の目から見たら貧乏な暮らしと思ったかもしれないけど、凄く私たちは誇りに思っている家だからそんな風に言わないでね。」って言って笑顔でさよならって言って送り出したのね。
うんうん。
すごく何年も経ってから息子がそのことを覚えていて、「あの時はお母さんすごいかっこ良かった」って言ってもらえたの。
お母さんヒーローだね。
それと、貧乏という言葉をいつどこで覚えたのか分からないのだけど、小学校高学年くらいかな。貧乏っていいよねって私に言ってきたんですよ。
うんうん。
「貧乏にしてくれてありがとう」って。
凄い。
それどういう意味?って聞いたら、ある知り合いの家族が、何でも物を与えてもらえる、ゲーム機でも新しいものもすぐ買いたい、海外旅行はあそこ行きたい。そういう中でやっぱり子どもがあまりにも欲求が高まりすぎちゃって、幸せを感じられなくなっちゃったわけよ。満たされすぎちゃって。それを冷静にみてて、あんな風になったら大変だよって、僕は本当に貧乏で良かったよ、お母さんありがとう!みたいな。
心がこもっているよね。
そうそう。
きっとすごく家の中の空気が温かかったんですよね。
本当お母さんは子供にとって太陽で、お金だけではないと絶対的に思います。

第3回に続く

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この対談のメンバー

  • 波柴 純子さん

    子供が3歳の時にシングルマザーとなり、お金の不安がきっかけでファイナンシャル・プランニングに関心を持つ。
    それまで苦手だったお金・制度の知識を学ぶとことで日々の暮らしが安心に変わるのを感じ、これを他の人にも伝えたい、と転職を決意。

    金融機関のファイナンシャル・アドバイザーとして約7年の経験を積む中で、子育て世代の多くが抱える未来への漠然とした不安をなくすには、お金のリテラシーを持つことと同時に、自分の価値観を明確にすることが必要だと確信するようになる。

    2013年に独立し「私が未来をデザインする」という想いを込め、Cras-i design(クラシデザイン)と名付ける。
    シングルマザーや起業家など、本気で自立したい女性にを対象に、個別相談・講演・執筆活動を行っている。
    プライベートでは2015年に再婚、第2子を出産。

    Cras-i design(クラシデザイン)ファイナンシャル・プランナー
    一般社団法人 日本シングルマザー支援協会 理事
    一般社団法人 ウーマンズ・エンパワメント協会 理事
    一般社団法人 日本女性起業家支援協会 コーディネーター

  • 江成道子さん

    1968年8月生まれ
    一般社団法人日本シングルマザー支援協会(横浜市)代表理事
    一般社団法人ウーマンズエンパワメント協会(横浜市)代表理事
    株式会社マーチ(中央区)シングルマザー事業部部長
    シングルマザーの支援を通して、企業や行政との連携の中で、支援とビジネスの融合を目指し活動。2014年8月にはシングルマザー向けの就職イベントを横浜で開催。会員数1300名を超え、日本で最大のシングルマザーコミュニティを運営し、ソーシャルアントプレナーとしての役割を担う。

  • 石尾ひとみさん

    シンクタンク「環境企画研究所」勤務を経て、1988年よりフリーランスで執筆活動を開始。

    スキューバダイビング、マウンテンバイクなどの趣味を活かして、レジャー施設開発プロジェクトに多数参加。「女性関連市場」をメイン・テーマとする。「女性の仕事と育児の両立」「男女参画社会の実現」などの問題に深くかかわる。

    自らワーキングマザーとして仕事を続けてきた経緯から、「働く親の現実に則した保育環境の実現」を目標にかかげ、2000年「こどもの森ほいく舎」を開設。
    福祉の枠を超えた民間による保育のあり方を提言している。

    執筆・セミナー講師・教材制作・調査・取材などのプロジェクト運営と並行し、保育園の園長を担っている。

    2012年、シングルマザーとその子ども達のためのシェアハウス「ペアレンティングホーム」のコンセプトメイキング、運営にかかわり、多数のマスコミに取り上げられた。
    「ペアレンティングホーム」は、第8回キッズデザイン賞の「子どもの産み育て支援デザイン 個人・家庭部門」に入賞した(2014年)。

    また、ジャズシンガー「 ‘s Honey」(スハニー)として音楽活動を続けており、2010年ジャズレーベルart of spirit(s) よりアルバム「La,la,mu」をリリースしている。