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マザーポート特別対談第4回「シングルマザーと子育て」

子育てを父性と母性の一人二役やらなくてもいい。
社会と関わらせることが大切。

第4回 「シングルマザーと子育て」

子育てについて聞いていきたいのですが、シングルマザーだからこそ子育ての中でこれが不安だったとか、これが楽しかったみたいなのをそれぞれ聞いていきたいと思います。
まず子育てで不安だったといえば5人育てているから、端から見ても大変そうって思われることが多かったんじゃないかなと思うんですけど江成さんどうですか。
子育てはそんなに大変じゃなかったですね、それはもう人数がいるからという事で、人数がいて大変なのはやっぱお金になっちゃうんですよ。子育てといっても本当に子ども同士で凄く上手く解決しているなみたいな。
ちなみに何歳違いなんですか。
上が年子なんですけれど、そこから3歳、3歳、4歳というかんじですね。
上の子が特に負担が大きいとかはなく。
うちみたいに大きくなってみて感じるのは、今3番目、4番目、5番目と一緒に暮らしているんですけど、何の役にも立たないってことを知りました。
上がしっかりしていたってこと。
そう!だからお姉ちゃん、次女まで含めて家にいたときは、私がずっと仕事で忙しくて居なくてもまわっていたんですよ。でも上2人が同時に家を出たら、なんか急にまわらなくなって、誰も何もしないってことがわかったんです。
下の方がしてもらいっぱなしみたいな感じなんだね。
そう。してもらうことに慣れていて、私もしてあげることに慣れていないので、あれ?って。
なるほどね。上はやっぱり大変さを感じ取っていたんですかねお母さんの。
サイクルの一部として機能していたんだろうね。
無理をしているという感じでは別になくて。一番下が生まれた時に、長女が私に言ったのが、お母さん、甘やかさないからね。厳しく育てますって言われた。
方針は私が決めますって。
本当そんな感じで、だからこそ長女が結婚するときは大変だった。
かわいいお姉ちゃんが結婚するのにね。
もう妹たちが口聞かないで、認めませんみたいな感じで。
そういう意味で、子どもたちの中で心のケアっていうのを、兄弟が多分3人いれば同じだと思うんだけど、やってくれる部分があったので特に女の子だったし歳もそこそこ離れているので上手くいっていましたね。
それは凄いね。
逆に石尾さんは一人っ子で。
そうそう、私が凄く心配だったことは、やっぱり父親がいないっていうこと。
私が一人で父性と母性を一人二役でやるわけだよね。
一人二役やらなきゃっていうプレッシャーってありますよね。
そうそう。あなたはあなたのままで良いっていう母性で包むことも私。
そんなのでどうするんだーっていう叱らなきゃいけない、社会を教えようっていう厳しさも私。
子どももまだ幼いうちっていうのは、そういう私の中の2つの役割を上手いこと裏をかいてくることもあるじゃない。
だからこのままだとまずいんじゃないかと思って、子どもに対して父性の役割を何か必要じゃないかな。例えば厳しさっていったら全寮制の学校に入れるっていう選択があったりとか。
色々考えたのだけど私が出した答えは、中学1年から高校3年まで毎年富士山に登るっていうことに決めたの。で、富士山が父性の役割になってます。
すごい。
日本一のお父さんです。それはやっぱり厳しさね、自然に対する畏怖畏敬っていう事ほど、自分の心の中に大切に持ってもらいたいものは無いなと思ったの。
中学1年生で初めて行った時と高校3年生、6年目の富士山登頂の時の息子の心と体の成長の違いっていうのは、もう私は本当に大感動でしたね。
やっぱり最初はまだまだ甘い。子どもの子どもですよね。どうしてこんな所に来たんだろう、足が痛い、息が苦しい、もう頭痛い、もう二度と行くもんかって言っていました。
でも私が最初から6年間連続行くって決めていたので。私は会う人会う人に、富士山を登ったの!最高だったよ山頂とか言ってね、苦しかったけど達成感がたまらなくて来年も行くんだって話しているわけ。それを聞いて、なんだよ行くよっていう感じだったのが、俺やっぱり来年行くよって。
自分で決めるんですねちゃんと。それいいですね。
もっと立派な姿で登るよって自分で決めて、靴をそろえたり、バスとか乗らないようにしたり、エスカレーターとかエレベーターを日々使わないで体を作るよって言ってね。
伝わっているんですかね。
伝わっているんだと思いますね。
言葉ではないんですね、父性を感じさせるために。
そういう話はあまりしていなかった。で2年目に槍のような雨になっちゃったんですよ。
雨、すごいね。それにまだ2年目ですよね。
そうなんです。もう寒くて死ぬかと思った私自身も。しかもそれではぐれちゃったんですよ息子と。
ええええええ。大冒険ですね。
そうなの。私は神様にもう一度あの子に会わせてって本当にお願いするくらい凄く大変だったのね、夜間登山なんだけどね。
え?夜間。
うん、夜登るの。本当に9合目の所でまた再会できて、もう私は泣いちゃって息子は、ちょっとテンション分かんねえんだけど、俺普通に登ってきたけどって。
それで中学3年生でそろそろ慣れてきたから、私たち1人ずつ初心者を連れていこうってことで、息子も凄く想いがあって友達を連れて来たわけ。
凄く最高だから富士山行こうぜって言って。ところがその子は行くなら行ってもいいけどっていうちょっと半ノリな感じで行っちゃったもんだから、友達を登らせる事がもの凄く困難だったの。
結局その子の体を押すように押すようにして、本当は山登りって苦しくなった人のザックを持ってあげちゃいけないのね、自分で背負わなきゃだめ。一回降ろしちゃったらもう二度と背負えなくなるから。だけどそれをやっちゃったんですよ。
それで、ついにその子を最後まで上げたんですよね。
その年に息子が学んだのは、やっぱり自分の想いと相手の想いは違うっていうこと。自分は登ったら最高なんだよっていうね、だけどその相手は凄く大変な想いをしてしばらく足も痛かっただろうし、それを凄く学んで。
高校3年生の時は本当に全体のリーダーという感じで、全てをタイムスケジュールして、だれだれちゃんが苦しそうだからちょっと一旦休憩、ただ座り込まないで水だけ飲んでねとかね。そういうみんなのペース配分を見ながら。
もう自分がお父さんみたいなね。
本当だね。
そういう感情に続くっていうところになんか姿を見せてくれて。私はいつもこの話をするんだけど、私にとって私の子育てを仕上げてくれたパートナーは富士山。
すごい。
なかなかそういう発想にならない。
壮大壮大。
よくこの話をするとね、じゃあ私の子どもに富士山登らせます。っていうんだけど、お母さんも一緒に登らないとやっぱりだめだね。
波柴さん山登った事あります?
いやいや。私も石尾さんと同じように母性と父性ってどんなひっちゃかめっちゃかな家庭でも、両親が育てていると何となくのバランスってあるじゃないですか。
うちにはそれがないから、私が厳しさを示さないとって思い込みすぎて最初は凄くきつかったんです、子育て。
ある日気づいてもうやめようって、私が苦しいだけだから私じゃなくって社会にいる沢山の大人たち、男女関わらず関わらせてもう世の中のお父さんたち、世の中のお母さんたちに触れさせる事で、うちに足りないものを荷が下りて思うようにして、連れ回す。
だから仕事の場にシェアオフィスを選んでやっているのですね。
そうです。 もう最高ですよ。
やっぱりそういう大人の男をみる機会をつくるのは大事なことですよね。
そうですよね。私自身が母子家庭で育ったので、父親が居ないってことに何も感じていなかったんですよ。
逆にある程度の年齢になったときに年上の男性が苦手で。
うちもそうなんですよ。父を早くに亡くしているので、やっぱりそれで社会に出た時ちょっと苦労したので、小さい時から男性の免疫をつけといた方がいいかなという風に思いましたよね。
慣れないですよね、なかなかね。
そうなんだよね。シングルマザーのシェアハウス、ペアレンティングホームの中でも、なかなか子どもたちが男性の大人を認識をする機会がどうしても少なくなっちゃっている。保育園に通っている子は、先生のほとんどが女性でしょ。家に帰ると女性ばっかりでしょ。
だからそういう意味では色んなイベント事だったりとか、そういう時にこのシングルマザーのシェアハウスを応援してくれているスタッフの男性陣、沢山来てもらってバーベキューをやってもらったりとか見てもらうようにしてます。
男性の人にしか出来ない遊びってどうしてもありますよね。
この間ちょっと聞いたのが、よくお母さんとお父さんの比較ってされるじゃないですか、色んな所で。例えば子どもがおもちゃで遊んでたら、お母さんは負けてあげるとか優先させてあげる。お父さんは俺が勝つよ、1位になって一緒に戦うみたいな。
それを揶揄するような形でよく表現されているけれど、子どもにとってお母さんは守ってくれるもので、お父さんは初めての社会だって。
社会なんだね。
守るだけでなく、一緒に戦ったり取り合ったりするってことが意外と大事なんだと教わって。
そうそう。兄弟がいると兄弟って取り合いってしますよね。
そこがね、一人っ子の悩みなんだよね。一人っ子でシングルマザーの子で、やっぱりライバルもいない中で育てているっていうのがちょっと心配な部分かな。
やっぱりシングルマザーだからこそ意図的に社会と関わらせる社会のかわりになる何かと富士山でもいいし。
だからお父さん=社会なんですね。富士山だったり周りの人と。
周りの人を巻き込む力が大事なことですね。
それもシェアハウスだったら解消できるでしょ。私のよって言って取り合う。
それを入居者さん間のトラブルと取るか、それとも子どもたちの育ちの場と取るか、私は絶対大事な場面だと思う。
子どもの喧嘩は大事ですよね。

第5回に続く

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この対談のメンバー

  • 波柴 純子さん

    子供が3歳の時にシングルマザーとなり、お金の不安がきっかけでファイナンシャル・プランニングに関心を持つ。
    それまで苦手だったお金・制度の知識を学ぶとことで日々の暮らしが安心に変わるのを感じ、これを他の人にも伝えたい、と転職を決意。

    金融機関のファイナンシャル・アドバイザーとして約7年の経験を積む中で、子育て世代の多くが抱える未来への漠然とした不安をなくすには、お金のリテラシーを持つことと同時に、自分の価値観を明確にすることが必要だと確信するようになる。

    2013年に独立し「私が未来をデザインする」という想いを込め、Cras-i design(クラシデザイン)と名付ける。
    シングルマザーや起業家など、本気で自立したい女性にを対象に、個別相談・講演・執筆活動を行っている。
    プライベートでは2015年に再婚、第2子を出産。

    Cras-i design(クラシデザイン)ファイナンシャル・プランナー
    一般社団法人 日本シングルマザー支援協会 理事
    一般社団法人 ウーマンズ・エンパワメント協会 理事
    一般社団法人 日本女性起業家支援協会 コーディネーター

  • 江成道子さん

    1968年8月生まれ
    一般社団法人日本シングルマザー支援協会(横浜市)代表理事
    一般社団法人ウーマンズエンパワメント協会(横浜市)代表理事
    株式会社マーチ(中央区)シングルマザー事業部部長
    シングルマザーの支援を通して、企業や行政との連携の中で、支援とビジネスの融合を目指し活動。2014年8月にはシングルマザー向けの就職イベントを横浜で開催。会員数1300名を超え、日本で最大のシングルマザーコミュニティを運営し、ソーシャルアントプレナーとしての役割を担う。

  • 石尾ひとみさん

    シンクタンク「環境企画研究所」勤務を経て、1988年よりフリーランスで執筆活動を開始。

    スキューバダイビング、マウンテンバイクなどの趣味を活かして、レジャー施設開発プロジェクトに多数参加。「女性関連市場」をメイン・テーマとする。「女性の仕事と育児の両立」「男女参画社会の実現」などの問題に深くかかわる。

    自らワーキングマザーとして仕事を続けてきた経緯から、「働く親の現実に則した保育環境の実現」を目標にかかげ、2000年「こどもの森ほいく舎」を開設。
    福祉の枠を超えた民間による保育のあり方を提言している。

    執筆・セミナー講師・教材制作・調査・取材などのプロジェクト運営と並行し、保育園の園長を担っている。

    2012年、シングルマザーとその子ども達のためのシェアハウス「ペアレンティングホーム」のコンセプトメイキング、運営にかかわり、多数のマスコミに取り上げられた。
    「ペアレンティングホーム」は、第8回キッズデザイン賞の「子どもの産み育て支援デザイン 個人・家庭部門」に入賞した(2014年)。

    また、ジャズシンガー「 ‘s Honey」(スハニー)として音楽活動を続けており、2010年ジャズレーベルart of spirit(s) よりアルバム「La,la,mu」をリリースしている。

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