お金の不安 ファイナンシャルプランナーの波柴さんインタビュー

2016/07/13 | 波柴 純子
お金の不安 ファイナンシャルプランナーの波柴さんインタビュー

ファイナンシャル・プランナーの波柴さんにお話を伺いました。
波柴さんは、Cras-i design(クラシデザイン)
のファイナンシャル・プランナー です。
シングルマザーや起業家など、本気で自立したい女性を対象に、個別相談・講演・執筆 活動を行っています。

子どもが3歳の時にシングルマザーとなり、経済的な不安からお金のことを学び始め、この知識は将来の不安を持っている多くのママにとっても役に立つ、という気づきから転職を決意。金融機関のアドバイザーとして約7年の業務経験を経て、2013年に独立。
プライベートでは2015年に再婚、第2子を出産。

ホームページについて教えていただけますか?

最近サイトを「シングルマザーのお金と起業の相談室」としてリニューアルしたのですが、その理由は「シングルマザーでも相談可能ですか?」という問い合わせが多かったからです。私のプロフィールを見たシングルマザー、あるいはその予備軍からご相談いただくことが多いのですが、都度お問い合わせいただくのもなんなので、「シングルマザー」のご相談ウェルカムです、とわかるよう表現してみました。

お問い合わせのほとんどは、お金の不安を相談してみたいけれど、貯蓄もないし、今後の収入も安定していない段階で相談しても良いか、また、プランを作る意味があるのか、といった内容です。私もたまたまこの仕事と出会った時が不安のまっただ中だったので自分自身の経験で実感したことですが、なかなかお金が貯められない時、未来も不確定な要素が多い時ほどプランニングのしがいがあります。むしろそういう場面で、お役に立てると思っています。

「起業」についても、安定的な収入が見込めない段階にプラン?と思われがちですが、私に言わせれば、プランなしで起業するのはかなりリスキーです。また、そもそもシングルマザーが起業だなんて無謀、と感じる人もいるようですが、会社に雇われていることで将来もずっと安定とは言い切れません。誰もが今すぐに起業するべきとは思いませんが、いざ会社や国の援助に頼れなくなった時に、自分の強みが何か、その強みの活かし方を知っておくのは大事なこと。そんな想いから「起業」もタイトルに入れました。

相談に来る方の男女の割合はどれくらいですか?

圧倒的に女性が多く、9割以上かな。男性からのお問い合わせがあると逆に警戒しますね(笑)。冷やかし?と思って。

シングルマザーだけではなく、これから離婚を考えている方も多いです。
割合は半々くらい。 離婚を考えている方へのプランニングの場合は、シミュレーションしているうちに課題が整理されて、離婚以外の解決法が見つかる場合もあります。

そういった方たちにどういった想いでやっていますか?

プランニングというと、一旦プランを作ったらその通りに実行しなきゃいけないと思われがちですが、そうではなく、あくまでプランは叩き台です。例えば、お化け屋敷って何が出てくるか分からないから余計怖いですよね。でもお化けが出てくる場所やそのインパクト、それをクリアした先のゴールのイメージが持てれば、そこまで怖がらずに前に進める。

人生も一緒で、何があるか分からないともやもやしているだけではなかなか一歩を踏み出せないんです。でも、やみくもに怖れるのではなく具体的に足りない額を知ることが大切です。

初めてご相談にくる方は「このままじゃ破産する」って結果が出たらどうしよう、と心配されるのですが、実際大抵の方が現状のままの生活を続けると、どこかで収支にマイナスが出てしまうのです。あ、でも大丈夫(笑)あらかじめそれが分かっていれば対処ができますから。子どもの教育費のピークに向けて、このタイミングでキャリアアップを図ろうとか、もう少し子どもに手がかからなくなったら思い通りに動けるよう、今できる範囲で準備をしよう、というステップを重ねれば、未来をプラスに変えていけるんです。

目標として設定していなければ、お金がないという理由で諦めていたであろうことも、あらかじめ時期と額がわかっていれば、そこで不足するお金を捻出する工夫はもちろんのこと、他の手段へのアイディアが生まれることもあります。

例えば大学入学まで時間があればその費用を運用することで効率的に準備することもできるし、どうしても親が全額出さなきゃいけないかというと、奨学金もあるし、コストが低い交換留学もあるし、子ども自身がバイトするという手もある。もちろん、大学そのものが目的ではないと気づく場合もあるでしょう。
目標設定を具体的にすることでそのための情報をキャッチするアンテナが立つのです。

いずれにせよ、プランをたてることで実態のわからない恐怖ではなく具体的な目標になります。特にシングルマザーが子育てしていく中で、お金に限らずたくさんの不安要素があります。日々の忙しさに追われてその不安と向き合う時間も持てないかもしれません。だからこそ、そんな方々の自立への一歩を私がお手伝いしたい、という気持ちが大きいです。

どうやってお金の知識を学んでいくのか、またお金のことでこれだけは知っておいた方がいいことってありますか?

あ、いい質問ですね(笑)
実は、お金の知識よりも大事なのが、「どう生きたいか」を明確にすることだと思うのです。
私もそうでしたが、シングルマザーになりたてで不安な時や生活が苦しい時は、理想のライフスタイルとか考える余裕もなくて、明日ご飯が食べられればいい、みたいな短期的な目標しか持てないもの。でもそれだけでは不安からは逃れられないんです。

自分はこうありたいとかこう生きたいとかいう目標があると、日々の仕事に追われているのではなく、今やっていることに意味があると思えるようになります。目先のお金を稼ぐための仕事ではなく、5年後、10年後、あるいは子どもが成長した時の理想の自分に近づくための必要な時期だと思える。今できることをしようという意識から、ルーティンワークも手を抜かずスピードや精度も上がってくる。そんな積み重ねが持っている能力を高めてくれます。

お金について小手先の知識やテクニックなど学ぶよりも生き方を明確にすることが先です。
確かにお金があれば豊かな気持ちになれますが、お金は生きる目的ではなく、ツールでしかない。目標額を稼ぐためならどんな働き方でもいいかっていったらそうじゃない。それではいくらお金があっても幸せにはなれないと思うのです。

逆に言えば、どんなライフスタイルが自分の理想なのかを考えてそれに合った稼ぎ方や使い方、貯め方のバランスを工夫し実践していくという手順をふめば、すっごいお金持ちになれるかは別として、豊かな気持ちになれることは間違いないです。

最後に、今日本は多様化の時代を迎えて、いいとか悪いとかは置いておいて、離婚件数も増えているし、未婚の母も増えています。さらに少子高齢化もどんどん進み、社会保障の財源は不足しているのにサポートを必要とする人が増えている。そんな中、働く力をもった人が能力を最大限に発揮できる場を増やしていくことが今後の課題となっています。

現状のシングルマザーの抱える「経済的な不安」や「孤独」といった社会的な課題を解決し、子育てをしながら生き生きと働ける世の中になれば、働く女性全体が抱える課題も解消するし、さらには潜在的な労働力を活かすことで現状の社会のみならず次世代も活性化します。シングルマザーが率先して世の中を引っ張っていくような存在にもなりうるのです。

私も、自分の役割を通して、女性の自立する力を高めるお手伝いをしていきたいと思っています。

波柴さんのホームページはこちらからご覧いただけます。

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この記事を書いた人

波柴 純子

子供が3歳の時にシングルマザーとなり、お金の不安がきっかけでファイナンシャル・プランニングに関心を持つ。 それまで苦...